肩は腕の重さを常に支えている
肩が上がらなかったり、肩を動かした時に痛みが出る、このような症状を五十肩や四十肩といいます。
片方の腕の重さは、体重の６％ぐらいと言われています。
平均するとだいたい３kg〜４kgぐらいです。
肩は、この重さを常にぶら下げているわけです。
腕の重さが肩関節にかかり、それを支えるのが筋肉の役目です。
しかし筋肉は休ませてあげないと、疲れてしまいます。
疲れてくると筋肉がこり固まり、力が出せなくなるだけでなく、肩も動かしにくくなってきます。
こうして肩が上げられなかったり、痛みが出たりするのです。
筋肉の緊張がとれるゼロポジション
肩には筋肉の緊張が一番取れるポジションがあります。
それがゼロポジションです。
ひどい肩こりの人で、肩を上げて、頭の上に手をのせた方が楽になるという人がいます。
これは肩の位置がゼロポジションに近くなり、肩を支える筋肉の緊張が抜けるからです。
ゼロポジション
肩関節のもっとも安定した肢位である。
骨性安定性と筋腱などの軟部組織による機能的安定性の合致した位置で、
実際には１３０度から１５０度の挙上位がゼロポジションとなり、両手を組んで頭を支える時の肩の肢位である。
X線像では、前後像で肩甲棘軸と上腕骨軸が一直線となり、
軸写像では肩甲骨関節面と上腕骨軸が直線状に並ぶ。
腱板断裂の術後や肩関節脱臼の整復位、
上腕骨近位端骨折・肩甲骨骨折・鎖骨骨折の一部の整復や固定などにゼロポジションやゼロポジション固定が用いられており、
スポーツでは投球動作やテニスのサーブ、バレーボールのアタックなどの肢位はゼロポジションと考えられている。「南江堂 整形外科学」より
ゼロポジションの図です、肩甲骨の肩甲棘と上腕骨の軸が一直線上にそろっています。
ゼロポジションにすれば、肩を支えているローテーターカフ（棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋）の張力が釣り合って上腕骨がどの方向にも捻れていない状態になり、
ローテーターカフの筋力も最小になります。
これによって肩がもっとも安定した状態になるのです。
肩をゼロポジションにすると、落ち着く感じがする
肩はいつも、重たい腕をぶらさげているので、筋肉には疲れがかなり溜まっている事が多いです。
この緊張と疲れを取り除いていく事が、肩を滑らかに動かすためには必要になってきます。
肩の施術をする時はベットに仰向けに寝ていただいて、
施術者が肩をゼロポジションにもっていくとローテーターカフの緊張がゆるんできます。
このゼロポジションにもっていくだけで、結構楽になってきます。
筋肉の緊張が抜けてくるので、「落ち着いて安定してる感じ」「安心できる感じ」という感覚になりやすいです。
それから、ローテーターカフなどの筋肉の硬結を取り除いていくと、肩が滑らかに動くようになってきます。
肩を滑らかに動かすための施術
・棘上筋
ローテーターカフの中でも、肩の重さが負担としてかかりやすいのは棘上筋です。
腕の重さは三角筋や僧帽筋といった大きな筋肉で支えられているのですが、肩こりなどで三角筋や僧帽筋の筋力が低下していると、棘上筋に負担がかかってきます。
棘上筋は僧帽筋の下にあり、なかなか触りにくいところですが、僧帽筋の下に指を潜り込ませるようにすると触ることができます。
触れてみると、硬くなっていることが多く痛みも出ます、これをゆるめてその後、施術者が腕を支えながら、肩をゆっくりと上に動かす運動をやっていくと、棘上筋の硬さがとれてきて肩が滑らかに動くようになってきます。
・大円筋
四十肩や五十肩の場合、大円筋がほとんどの場合で硬くなっています。
大円筋は、広背筋と肩関節を伸展、内転、内旋させる作用があります。
大円筋は、ワキの後ろの壁を形成しています、これをつまむように触ってみると、硬くなっていることがわかり、痛みもでます。
大円筋が固まっていると肩の動きが制限されてきますので、これをゆるめて肩の動きを促していくと、肩が動かしやすくなってきます。
・肩甲骨の感覚
肩甲骨は背中側にあって、普段はあまり意識することはありませんが、肩甲骨は肩や腕の土台となる重要な部分です、ゼロポジションでローテーターカフの緊張がぬけてきますが、ローテーターカフはすべて肩甲骨にくっついています。
肩甲骨へほんの少しでもいいので意識を向けていくと、四十肩・五十肩、肩こり、頭痛などの症状も変化してくるばずです。
肩甲骨の体操についてはこちらの記事も参考にしくてください。
たかなが整体院
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