だれもが小学生のときにやった、前ならえ。
体育館や校庭に集まった時に、前の人とある程度の間隔をあけて整列する際に、前ならえをします。
この、前ならえを全開までやろうとする時、手が前に伸びるだけ伸ばそうとする時、この時に働く筋肉が前鋸筋です。
前鋸筋が働くことで、肩甲骨を前方に突き出すことができ、手を全開まで前に伸ばすことができます。
だから、小さく前ならえ、では、前鋸筋は働きません。
前鋸筋の作用は肩甲骨を前に出すだけでなく、上方へ回旋させる役割もあります。
ですから、前鋸筋が弱体化していると、肩甲骨の動きが鈍くなって肩が上がらない、といった症状も発生します。
前鋸筋の起始・停止・神経・作用
※前鋸筋のイラストはフリー素材として「イラストAC」に公開しています。
こちらからダウンロードして利用できます。
前鋸筋 | |
起始 | 第1〜第8肋骨側面 |
停止 | 肩甲骨内側縁全域 |
神経 | 長胸神経C5〜C8 |
作用 | 肩甲骨外転、上方回旋 |
前鋸筋の不調による症状
前鋸筋は、肋骨を引き上げて、胸郭を広げる役割もあります。
呼吸を補助する筋肉の一つです。
そのため、激しいスポーツや、体調不調でハァ、ハァしている時や、咳が続くと、前鋸筋に疲労がたまり、機能低下することがあります。
前鋸筋が弱っていると肩が上がらなくなる
肩を上げるメカニズムは、三段階あって、
第1段階は棘上筋と三角筋による、肩関節の外転。
第2段階は僧帽筋と前鋸筋による、肩甲骨の外転が加わります。
第3段階は反対側の脊柱起立筋や体幹の側屈も加わる、体全体の動きになります。
前鋸筋は、肩甲骨を上方回旋するための主要な筋肉なので、前鋸筋が弱っていると、肩が上げずらくなります。
前鋸筋のトリガーポイントにより、深呼吸がやりづらくなる
前鋸筋は、深くて大きい呼吸をするとき、胸郭の拡張を助ける呼吸補助筋としての役割があります。
しかし、前鋸筋が疲労して、トリガーポイントができると、大きな呼吸をした時に痛みが出て、深呼吸がやりずらくなり、普段の呼吸も浅くなることがあります。
菱形筋と前鋸筋、アナトミートレイン
前鋸筋ともっとも関係の深いのが菱形筋です。
アナトミートレインによると、
肩甲骨の内側縁で、菱形筋・前鋸筋と不明瞭であるが強力な筋膜接続をする。
解剖所見において、菱形筋と前鋸筋との接続は、両筋の肩甲骨自体への付着よりも強力で「筋的」である。
アナトミートレイン第3版より引用
とあります。
もはや、菱形筋と前鋸筋は、一つのつながりのある筋肉として捉えることも可能であり、そこにたまたま肩甲骨が付着しているという感じでもあります。
菱形筋ー前鋸筋、の繋がりは全身をラセン状に取り巻く、スパイラルラインのなかでもキモとなる場所です、ここの動きを改善することで、肩甲骨の動きだけでなく、全身の動きにも影響を及ぼすことが可能です。
前鋸筋のストレッチ
まず、ストレッチする側の腕は、肘を曲げて手を、柱やタンスの壁などに置きます。
次に、上半身を図のように、ひねっていきます、この時に肩甲骨が背骨に寄っていくのを感じながら行ってみてください。
肩甲骨が背中側に引き寄せられた分、前鋸筋がストレッチされます。
気持ちの良いぐらいの強さで行ってください。
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