スマホを操作するときに、多く使う指は、親指と人差し指だと思います。
スマホを片手で操作するときは、主に親指で操作するのが主流ですよね。
画面をスクロールするときも、タップするときも親指。
親指を使う頻度が多くなれば、それだけ親指が疲れます。
親指が疲れると、実は肩もこりやすくなるんです。
一見すると、親指と肩や首は離れているので、あまり影響がないと思われがちですが、親指と肩こりには深い関係性があります。
肩こりや首がつらいときに、親指をケアすると、症状が軽くなることがよくあります。
今回は、親指を曲げるための短母指屈筋と短母指外転筋について書きました。
短母指屈筋と短母指外転筋の起始・停止・神経・作用
短母指屈筋 | |
起始 | 浅頭:屈筋支帯 深頭:有頭骨、大小菱形骨 |
停止 | 第1中手骨の橈側種子骨、第1中手骨の尺側種子骨、母指基節骨底 |
神経 | 浅頭:正中神経C6〜C7 深頭:尺骨神経C6〜T1 |
作用 | 母指の手根中手関節(CM関節)に対して、屈曲、対立 母指の中手指節間関節(MP関節)に対して、屈曲 |
短母指外転筋肉 | |
起始 | 舟状骨、屈筋支帯橈側端 |
停止 | 第1中手骨頭橈側種子骨、母指基節骨底 |
神経 | 正中神経C6〜T1 |
作用 | 母指掌側外転 |
手を使いすぎるから、肩コリになる、親指とアームラインの関係
人類は手を器用に使えるようになって文明を発達させてきました。
しかし、その器用さと引き換えに肩コリも手に入れることになりました。
手は腕ー肩甲骨とつながり首へとつながっています。
手を使いすぎて疲れれば、その疲れは首や肩周辺に伝わり、肩もこります。
アナトミートレインでは、アームラインという筋筋膜経線があります。
アームラインには4つのラインがあります。
- スーパーフィシャル・フロントアームライン
- ディープ・フロントアームライン
- スーパーフィシャル・バックアームライン
- ディープ・バックアームライン
図を見てもらえれば、手から首肩へ、つながりがあることがわかると思います。
画像:医学書院 アナトミー・トレイン 第3版 より引用
この4つのアームラインのなかで特に親指と関係性が深いのが、ディープ・フロントアームラインです。
このラインは親指の母指球筋から橈骨、上腕二頭筋を伝って、小胸筋や鎖骨胸筋筋膜につながっています。
親指を使うスマホやパソコンなどの操作をやりすぎて、母指球筋が疲労してくると、ディープ・フロントアームラインを伝って、胸の筋肉である小胸筋や鎖骨まで伝わります。
そして小胸筋が硬結し短縮すると、肩甲骨を前方に引き寄せて、肩が前方の入り、背中が丸まってきて、首から背中にかけて筋肉がこり、肩こりになります。
スマホやパソコンをやり続けると、画面を見るために、首が前に出てきて姿勢が悪くなることはみなさん知っていますが。
親指を使いすぎて、腕から胸が縮こまって姿勢が悪くなっていることは、あまり知られていないでよう。
猫背で困っている人は、画面を見るために、首が前に出てきている事と、手からの疲れで肩が前に入り込んで背中が丸くなっている事と、その他の要因が複合的に絡み合っている状態です。
短母指屈筋と母指外転筋のケア
自分自身で肩こりを、もみほぐすのはなかなか大変です。
でも親指のケアなら、簡単にできます。
いつもがんばって働いてくれている、親指をケアして、アームラインの緊張が緩和されてくれば、姿勢も徐々に整ってくるはずです。
筋肉は付着部から付着部(起始から停止)までケアしていくと動きが改善されてきます。
短母指屈筋と母指外転筋は、手根骨と呼ばれる手首の小さな骨から付着しています。
そこから、停止部までケアしていきます。
やり方は、イラストのように、親指の筋肉が膨らんでいるところからではなく、親指と手首の境目あたりから、もう片方の親指で、爪をたてて、骨から筋肉をはがすようにしごいていきます。
よく触ってみると痛いところやコリコリしている部分があります。
そのような部分を、爪をたててケアしていくのですが、自分の体を痛めつける強さと、ケアをする強さは違います。
ご自分の感覚を頼りに程よい強さを見つけてみてください。
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