人類はネットワークにつながることで猫背が加速していく
猫背が社会問題になっているといっても過言ではありません。
なぜ、猫背が増えているかと言えば、みんな前を向いて歩いていないからです。
街を歩いている人を眺めてみてください、下を向いて歩いている人が非常に多いです。
前を見なくても人にぶつからずに器用に歩いています。
駅のホームで待っている人を、眺めてみてください。
ほぼ100%の割合で、みんな下を向いています。
なぜみんな下を向いているかというと、
もう、お分かりですよね。
スマホを見ているんです。
スマホは便利です。
手のひらサイズの液晶画面の中は、広大なネットワークとつながっています。
そのネットワークの中に自分の居場所があるから、一生懸命下を向いてスマホを見ているんです。
Facebook・Twitter・Instagram・LINEなどのSNSや、ブログや、お気に入りのゲームなどは、第二の自分の居場所と言ってもいいでしょう。
現代人はスマホを手に入れたことで、普段過ごしている日常の世界だけでなく、別の次元の世界を手に入れたようなものです。
ネットワークの中は別の次元といっても、現実社会と完全に分かれているわけではなく、密接に関わっている世界です。
そのなかに自分の居場所があるわけですから、気になってしょうがない。
自分のSNSをチェックしたり、仮想通貨の相場をチェックしたり、情報キュレーションアプリをチェックしたり、ゲームをしたり、とスマホを見ることに大忙しです。
だから、みんな下を向いているんです。
スマホに映し出されるネットワークの世界にダイブするかのように、顔を近づけていく。
そして頭は垂れ下がり、首と背中が丸まり、猫背になっていく。
この世にスマホがある限りこの現状は止められない。
ネットワークの中に第二の自分の居場所がある限り、人はそこへダイブしようとする、意識は完全にネットワークの中、身体の形状もそれに適応しようとして、スマホが見やすい形状、すなわち猫背へと変わろうとしています。
胸の筋肉である小胸筋が短縮することで、猫背になっていく
スマホを覗き込むように見ていると、だんだんその姿勢が体に定着していきます。
ずっと同じ姿勢をしていると、その姿勢を維持しようと筋肉や関節が固まってくるからです。
特に胸の筋肉である小胸筋が硬くなり、短縮してくると、猫背になってきます。
スマホを手に持って、それを覗き込むように見ると自然と肩が内側に入ってきます。
この肩を内側に入れる筋肉が小胸筋です。
小胸筋 | |
起始 | 第2〜第5肋骨前面 |
停止 | 肩甲骨烏口突起 |
神経 | 内側・外側胸神経C6〜T1 |
作用 | 肩甲骨引き下げ、下方回旋、外転 |
小胸筋は、肋骨から肩甲骨の烏口突起につき、肩甲骨を前方に引きよせる作用があります。
肩甲骨が前に引きよせられることで肩が前に出てきます。
この動作は、手で何かを作業するときに必要な動作なのですが、やりつづけると、筋肉が疲労して、短縮したまま硬くなる傾向があります。
スマホを見るときは、胸をはって、顔を上げて、目線の高さまでスマホを持ってくるのが望ましいと思われるのですが、そうはならないんです。
なぜか、みんな体を丸めて、下を向いてスマホをいじっています。
これはやはり、スマホの中に第二の自分がいるからです。
自分のプライベートな部分がスマホの中にあるので、他人には見られたくない、という心理が無意識に働き、そのため体の前でスマホを隠すようにして覗き込む姿勢ができあがるのです。
これはもうしょうがない、スマホ時代の現代人の特徴でしょう。
体を丸め込まなくても、自分の目の前に、パッと映像が映し出され、しかも他人にはその映像が見えないようになっている新時代のデバイスが登場するまで、スマホを覗き込む姿勢は続きます。
だからセルフエクササイズをする必要があるのです。
体を丸めて、スマホをいじっていた分、硬くなり短縮した小胸筋をセルフケアしてあげましょう。
小胸筋のセルフケア
脇を少し持ち上げて、肩の下にある筋肉をつかむことができると思います、それが大胸筋です。
小胸筋はその大胸筋の下にあります。
大胸筋を持ち上げて、肋骨に沿って指を入れていくと、小胸筋があります。
コリコリしている感じや、押してみると痛い感じがあるはずです。
それをあまりゴリゴリ強くやり過ぎずに、心地よいぐらいの強さでほぐしていきます。
小胸筋がほぐれてくると、前方に引きよせられ気味だった肩甲骨と肩が後方に戻り、胸が開いて姿勢が整ってきます。肩も動きやすくなってきます。
目線も自然と前を向きやすくなり、呼吸も深くなってきます。
うつむき気味だった姿勢が、改善されて前を向くようになると、やる気や意欲も湧いてくるようになるでしょう。