筋肉

「棘上筋まとめ」起始・停止、ストレッチ、五十肩との関係やスポーツなどで痛めやすい理由

2017年10月18日

腕は、肩からダランと垂れ下がっています。
棘上筋は腕が下に落ちないように、支えている大事な筋肉です。

そして棘上筋なくして肩は上げることができません。
棘上筋が、肩を上げる最初のきっかけをつくることで、肩を上げることができます。

スポーツや慢性疲労で、痛めやすいのも棘上筋。

肩を語る上で切っても切り離せない棘上筋の詳細をお伝えします。

棘上筋の起始・停止・神経・作用

棘上筋

棘上筋
 起始  棘上窩、棘上筋膜内面
 停止 上腕骨大結節上部
神経 肩甲上神経C4〜C6
作用 肩関節外転 

※棘上筋のイラストは「イラストAC」に公開しています。こちらからダウンロードして利用できます。

 

ローテータカフ(回旋筋腱板)の一つである棘上筋

人の関節で、もっとも可動域が大きいのが肩関節です。
この大きな可動域を実現するために、肩は関節面が小さく安定性が乏しい、そのため最も脱臼しやすい関節でもあります。
肩の安定性を補うのは、靭帯や筋肉などの軟部組織であり、その代表的なのがローテータカフ(回旋筋腱板)です。

ローテータカフ(回旋筋腱板)は肩関節を包み込むように支えている、4つの筋肉群、「棘上筋」「棘下筋」「肩甲下筋」「小円筋」から成り立っています。

ローテーターカフ

ローテータカフの役割は、肩関節を支えながら、精密な動きをコントロールすることです。
ローテータカフを痛めてしまったり、疲労が蓄積してくると、肩の動きを制御しきれずに痛みが出たり、肩が上げづらくなったりします。

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棘上筋は狭いところを通っているので痛めやすい、インピンジメント症候群

棘上筋は骨と骨のせまいところを通っています。
せまいところを通っていると、どうしても挟まれやすいんです。

具体的に棘上筋は、肩甲骨の肩峰と烏口鎖骨靭帯の下をくぐって、上腕骨に付着しています。

肩関節の説明

そのため上腕骨が外転した時や、

肩のインピンジメント

転んで手をついた時に上腕骨が上に持ち上げられた時に、

肩のインピンジメント
挟まれて痛めてしまうことがあるのです。
これをインピンジメント症候群といいます。

 

スポーツの動作で痛めやすい棘上筋

野球の投球や、体操選手、テニス、バトミントン、バレーなどの練習で肩を酷使すると、棘上筋を含めるローテータカフに疲労がたまり、痛めてしまうことがあります。

 

肩こりや、慢性疲労で棘上筋を痛める理由

いつも肩こりで悩んでいる人は、首から肩にかけての筋肉が凝り固まっているので、肩関節を支える力も弱くなっています、そのため腕がダル重く感じることが多い。
そして大きな筋肉で肩を支えきれていないぶん、棘上筋に負担がかかり、痛くなることがあります。

肩こりや慢性疲労で、肩を支える力が弱くなり、腕がダル重く感じると、肩を支えようと三角筋や大胸筋、上腕二頭筋などの大きな筋肉が過剰に緊張することがあります。
そうすると、この筋力によって、肩が上に持ち上げられ肩甲骨の肩峰と烏口鎖骨靭帯に棘上筋が衝突し、すり減らされて痛めることがあります。

 

肩を上がる時に働く棘上筋、五十肩との関係

肩を上げる時は、まず上腕骨を関節窩に引き寄せることからはじまります。
その動作を行うのが棘上筋です。

上腕骨が関節窩にうまく引き寄せられないまま、肩を上げようとすると、上記したようにインピンジメントを起こしやすくなります。

そうならないように、棘上筋はしっかりと上腕骨を関節窩に押し付ける様に作用することで、
肩を上げる準備が整います。

棘上筋の作用
そして三角筋の力で肩が上がると同時に、上腕骨の骨頭が下方にうまく滑り込むことができインピンジメントを避けることができます。

三角筋の作用

肩が痛くて上がらない四十肩・五十肩は、棘上筋と三角筋の連携がうまくいっていないことが原因の一つにあります。
(四十肩・五十肩の原因は、いまだにはっきりしていませんが、石灰化や、上腕二頭筋腱炎、その他の炎症があります)

 

アナトミートレインでの棘上筋

アナトミートレインでは、棘上筋はディープ・バックアームラインの一部です。

ディープ・バックアーム・ライン

画像:医学書院 アナトミー・トレイン 第3版 より引用

このラインで棘上筋は肩甲挙筋とつながり、首ー肩甲骨ー肩の円滑な動きに関わっています。

肩甲挙筋から棘上筋

とくに棘上筋と肩甲挙筋の境目には、コリが発生しやすく、首や肩甲骨、肩の動きを阻害することが多いです。
このコリを解消することによって、首や肩甲骨、肩の動きを円滑にすることが可能です。

また、ディープ・バックアームラインは小指の小指球筋までつながっており、パソコン操作や、手を使う作業などで小指が疲れると、棘上筋や肩甲挙筋にまで影響し、肩こりや肩が上げづらいなどの症状を発生させることがあります。
ですから、小指の疲れをよく取り除くことで肩こりや、肩の上げづらさを改善することも可能です。

 

棘上筋を守るために、重たいバックを長時間持たない

女性はバックやカバンに荷物をたくさん詰めていることが多くて、重い。
そんなバックを持ち歩いている時、肩が外れない様に棘上筋が頑張っています。
そのせいで棘上筋に疲労がたまり硬くなってしまうことがあります。

大事な棘上筋を守るためには、荷物を減らして、なるべくバックやカバンを軽くすることをおススメします。

 

棘上筋のストレッチ

棘上筋をストレッチするには、背中側でストレッチする側の反対の手で、肘のあたりを持ち、軽く引き寄せます。
その後、首を横に傾けて、棘上筋をストレッチします。

四十肩・五十肩で手を背中側に回すのが、きつい方は無理して行わないでください。

棘上筋のストレッチ

ホームページ:熊谷市の整体「たかなが整体院」

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