骨盤矯正

腰痛の改善、骨盤の痛みは腸骨稜をケアする

腰は筋肉で支えている

腰は骨の支持力が弱い部分です。
体幹部を上から見ていくと、まず鎖骨と肩甲骨などがあって、背骨から肋骨が出て胸郭を構成してします。

骨格のイラスト
出典:運動学 第2版 医歯薬出版株式会社

骨がいっぱいあるところは、骨性の支持力が高いところです。
すなわち骨だけでしっかりしているのです。
胸郭の下の方になると、肋骨が無くなって腰椎だけになります。
ここが、いわゆる腰なんですが、骨は腰椎しかないので、胸郭に比べると頼りない感じです。
その下は骨盤があります。
骨盤は内臓を支えるために、大きくがっしりしているので、骨性の支持力は高いといえます。

腰は骨性の支持力が弱いぶん、それを補っているのが筋肉の役割になります。
ですから、腰を支える筋肉は強くてしなやかさが求められます。

 

腰を支える筋肉は腸骨稜についている

腸骨稜

腰を支える筋肉は、骨盤の上縁である腸骨稜にくっついています。
脊柱起立筋、腰方形筋、腹筋群といった筋肉が腸骨稜についており、体幹を構成しています。

脊柱起立筋

脊柱起立筋
脊柱起立筋は、体を起き上がらせるための筋肉で、この筋肉が疲れてしまうと、体が前屈気味になってきます。
頭や上半身が前に倒れてくると、それを引っ張り上げようとする力が、付着部である、腸骨稜と仙骨にかかって、ここに疲労がたまりコリや痛みの原因になります。
とくに腸骨稜から仙腸関節の境目にコリができやすい部分です。ここは「多裂三角部」とも呼ばれ腰痛に関して重要な部分です。

多裂三角部についてはこちらの記事をお読みください。
ふくらはぎのケアで姿勢が良くなる理由、自分でできるセルフケア

腰が痛いと自然と手が入ってしまう場所の一つが、この腸骨稜から仙腸関節の境目です。
やはりここがつらいということです。
脊柱起立筋と骨ぎわの付着部を丁寧に触っていくと、コリコリと痛い部分が、大抵はあるので、そこを緩めていくと、脊柱起立筋の機能が回復し姿勢も改善されてきます。

腰方形筋

腰方形筋

腰方形筋は肋骨と腸骨稜と腰椎をつなぐ筋肉で、上半身を左右に傾ける作用と、腰を安定させる作用があります。
腰痛の人は、この筋肉も硬くなりやすく、付着部である腸骨稜と肋骨にコリができていることが多くあります。

腹斜筋

腹斜筋

腹斜筋は、外腹斜筋と内腹斜筋があり、体をねじる作用があります、歩く時に腹斜筋が働くことで上半身が安定してきます。
また腹圧を高めて腰をサポートする役割があります。
腹斜筋は、体をねじるスポーツ、ゴルフ、野球、テニス、などで疲弊することが多く、付着部である腸骨稜との境目に圧痛を伴う、コリができることがあります。
そのコリにアプローチすることで、腹斜筋が本来の機能を取り戻すと、体がひねりやすくなります。

 

アナトミートレインと腸骨稜

たしかに腸骨稜にそって施術していくと、腰は楽になって姿勢も改善してきます。
しかし、なぜ、腸骨稜につく筋肉が硬くなってしまったのか?と考えた時に、全体的な視点が必要になってきます。

物事には順序があります、いきなり腸骨稜につく筋肉が硬くなったのではなく、別の部分からの疲れが影響しているということが大いにあるのです。

スーパーフィシャルバックラインと腸骨稜

脊柱起立筋がつく腸骨稜、仙腸関節は、全体的に見るとスーパーフィシャルバックライン(SBL)の一部であることがわかります。

スーパーフィシャルバックライン
出典:アナトミー・トレイン 第3版 医学書院

こう見ると、足の裏やふくらはぎの疲れが腸骨稜のあたりまで伝わっていると考えられるし、首や背中の疲れが腸骨稜に来ているとも考えられます。

ラテラルラインと腸骨稜

腹斜筋はラテラルラインの一部です。このラインは体の横側につながるラインです。

ラテラルライン

出典:アナトミー・トレイン 第3版 医学書院

足の捻挫は、足首を内側にひねって損傷する内反捻挫が多く、その時に足関節の外側の靭帯を痛めるのですが、それと同時に腓骨筋を痛めることがあります。
足の捻挫が治っても、腓骨筋のダメージが残っていることがあります。
腓骨筋はラテラルラインの一部なので、このライン全体に何らかの影響を与えることになります、それで同じラテラルラインの一部である、腹斜筋が腸骨稜の部分でコリを作っている場合もあります。

スパイラルラインと腸骨稜

スパイラルラインは全身を8の字状のラインでつないでいます。

スパライラルライン

出典:アナトミー・トレイン 第3版 医学書院

このラインも腸骨稜を中継地点として通過しているので、脚の影響や、肩甲骨を動かす菱形筋や前鋸筋などの影響が腸骨稜に伝わります。

全体的な視点をから見て、根本的な疲れがいったいどこから来ているのか?をよく調べてそこにアプローチすることで、腸骨稜へ変化をもたらすことが、腰痛の施術では重要だと考えています。

 

自分で腸骨稜をケアする方法

立ってやる場合

腸骨稜のケア
骨盤の上のラインが腸骨稜なので、そこを自分の手で触っていきます。
指をお腹にめり込ませるような感じで、腸骨稜の上に指を滑り込ませていきます。
硬い感じや痛い感じのところがあったら、やさしくケアしてください。
お腹の方から腰の方までやっていきます。

座ってやる場合

腸骨稜のケア
横座りの姿勢で、片方の手は体を支えて、もう片方の手で腸骨稜をケアしていきます。
腸骨稜をなぞるように、指でケアしていきます。
あまり強くやりすぎず、気持ちのいい感じで行ってください。

 

参考文献
・運動学 第2版 医歯薬出版株式会社
・アナトミー・トレイン 第3版 医学書院

 

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